
ビアズリー展に行ってきました。場所は三菱一号館美術館。今回初めて訪れましたが、重厚感のある建物で、とてもかっこよかったです。
今週が最終週ということもあってか、平日にもかかわらず館内は多くの来場者でにぎわっていました。静かだけれど熱気のある、そんな空気感が印象的でした。
ビアズリーといえば、やはり戯曲『サロメ』の挿絵が有名ですね。白と黒だけで構成された世界なのに、感情が豊かに伝わってくるのが印象的です。繊細な線と細密な描写、そして大胆な余白の組み合わせがとても美しく、じっくり見たくなります。
25歳という若さで肺結核により亡くなったビアズリーですが、それまでに1000点以上もの作品を残したそうです。その集中力と表現力には、圧倒されるばかりです。

ちなみに『サロメ』の挿絵について、原作者のオスカー・ワイルドはあまり気に入らなかったというエピソードも紹介されていました。「たちの悪い落書きだ」と一蹴したそうで、ちょっと意外でした。
展示は年代順に構成されていて、作品を追っていくうちに、どこか幸薄い雰囲気や影のようなものが少しずつ濃くなっていくように感じました。おそらく心身の状態や人生の行く末が、画風に強く反映されているのだと思います。明るい色や希望の光のようなものは、ほとんど見られません。
でも、そのぶん黒と白だけで描かれた世界には、他の誰にも描けない独特の美しさがありました。幻想的で、妖しくて、どこか切ない世界が沈んでいます。
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