渋谷区立松濤美術館で開催されている「中央アジアの手仕事」展を見てきました。ぐるっとパスを利用したため、通常は一般1,000円の入館料が無料で入館できました。
今回この展覧会に足を運んだきっかけは、中央アジアを舞台にした漫画『乙嫁語り』です。以前から気になっていた作品だったこともあり、その世界観の背景となった地域の文化や暮らしに触れてみたいと思ったからです。
展示されていた工芸品は、どれも驚くほど手が込んでいました。衣服や装飾品だけでなく、床に敷く布や生活空間を彩る大きな刺繍作品まで、人々が暮らしの中で使うさまざまなものを自らの手で作り上げていたことに驚かされました。
特に印象的だったのは大きな刺繍作品です。一見すると一枚の大きな布に見えますが、実際には細長い布にそれぞれ刺繍を施し、最後に縫い合わせて一つの作品に仕立てられています。近くでよく見ると、円の輪郭がわずかにずれていたり、花や葉の形や向きが少しずつ異なっていたりします。現代の工業製品のような均一さはありませんが、その不揃いさが愛らしいです。
また、刺繍の下絵を描く人と実際に縫う人が異なる場合もあったようで、布には下絵のインクがかすかに残っている箇所も見られました。完成品だけを見るのではなく、作り手の手の跡や制作過程まで感じられるところに大きな魅力がありました。
作品全体からは、どこかおおらかで温かな雰囲気が伝わってきます。完璧な仕上がりを追求するというより、家族や自分たちが使うために心を込めて作られたことが伝わってきました。
装飾品の展示も見応えがありました。解説によると、これらの装身具は単なる飾りではなく、お守りとしての意味を持つと同時に財産でもあったそうです。女性たちは料理をするときも、寝るときも身につけていたとされ、総重量は5~15kgにもなったと紹介されていました。
中央アジアの文化に日本で触れる機会はあまりありませんが、手仕事を通して当時の暮らしや価値観を身近に感じることができました。人の手で作られたものだからこそ生まれる温もりや個性を改めて実感できた、とても興味深い展覧会でした。
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