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7月に読んだ本。

緋色の稜線 ★★★★☆

少年の名前が白兎だったので、主人公は騙されて滑稽な感じで終わるのかなと思いましたが、違いました。因幡の白兎ではなかった。

人でないものの扱いが斬新で面白かったです。少しづつ増えていく謎が、いろいろな登場人物の過去と混ざり合っていて、それが繋がっていく展開にドキドキしました。過去の事実と出会うたびに揺さぶられていく主人公が、不審に思いながらも、女の子を大切に扱っているところが虚しさを誘ってきます。妄想だと言われた時の絶望感を一緒に味わいました。

背負った罪は消えないと言いつつも、最後は、捕らわれた過去と決別できそうな希望で終わります。過ちや罪は、その過程で希望があるからこそ、重さを知ることになるのかもしれません。償いは、生きていればこそできるものなのだと感じました。

藤色の記憶  ★★★★☆

意図せず、被害者が加害者を作る。生きる力の弱い者は、いろいろな切っ掛けで落ちていく怖さがありました。欲しいもの、望んでいるものが分かる人間は強い。強く生きて、自分の不幸を他人の所為にせずに生きて行きたいものです。

白兎シリーズ第2弾です。白兎は何のために存在するのか、なんとなーく役割が描かれいました。特定の人物しか見ることはできないけれど、肉体があって血が流れている、そして思わせぶりな態度も謎を深めるばかりです。正体は明らかになるのかなぁ。

藍の夜明け  ★★★★☆

自分が信じられず理解できない怖さが、日常に潜んでいたらと、想像できそうでできません。

どんな切っ掛けで、この先の道を選ぶかなんて分からないけれど、後悔のない道を選びたくても、その選択さえもなかったとしたら、どう生きて行けばいいのかわからなくなりそうです。それでも、間違ってしまったとしたら、償いながら、生きて行くのが残された唯一の道なのでしょうか。

四分の一が時代小説なので、あさのさんの時代物を読んでない人はきっとびっくりですね。

白磁の薔薇  ★★★★☆

「白兎」シリーズ、最終巻。生と死の狭間に生きる白兎は、不思議な存在だと認識されてもなお、自然と受け入れられていきます。

結局、思考をさらしてしまうことは野暮だから、彼自身の思いが語られることはなかったんですが、役目についてどう思っているのか知りたかった気持ちはあります。言葉の端々には出てきているけど、歯がゆい思いをしつつも、何故その役目を果たそうとしているのかとか。なぜ少年の姿なのかとか。

> 生きることが希望だと思わないけれど、死もまた救済にはならない

40代にもなると、生まれた意味を問い続ける時間は終わって、ずいぶん前から、生きた証を残していくことに時間を費やすことが必要になりました。でも、それは生きた奇跡そのものなのだとしたら、何も探求することなく、ありのままの自分でいることで意味のある人生だったと言えるんだなと思えました。

蠱峯神 よろず建物因縁帳 ★★★★☆

因縁の元が明らかになって、いよいよ終わりに向かってきたという感じです。

春奈がめちゃ強くなっているのが爽快です。口から血が出ても、痣から血が噴き出しても、真相の追求のために挑んでいくところがかっこよかったです。因縁の繋がりと人との繋がりが交錯していて、そこへ神との絡みも入ってきて、何だか凄いごちゃまぜですが、過去の物語が事実としてちゃんとあって、今に繋がっていくところが面白いです。 次回、最終巻だそうです。棟梁が!ハッピーエンドで終わってほしいです。

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