
最近、美術展のチケットって高くなってきましたよね。音声ガイドをつけると、なんだかんだで3000円近くになります。見たい展覧会はたくさんあるけど、ちょっとためらってしまうことも増えました。でも、ヒルマ・アフ・クリント展は絶対に行きたいと思っていたので、国立近代美術館へ足を運びました。
まず面白かったのが、時代によってまったく作風が違うところです。初期の頃に、交霊術のトランス状態で「高次の霊的存在」からメッセージを受け取り、自動書記や自動描画によって作品を生み出していた、という説明がありました。……芸術家は、次元が違う。美術展というより、精神世界の探求に近いような気もしてきます。

彼女が「啓示を受けて描いた」という作品群は、幾何学的でありながらも、色むらやグラデーションなど淡い表現も含まれているのが印象的です。中でも「楽園のように美しい10枚の絵画」は圧巻。サイズも描き込みも壮大で、まさに“神がかり”という表現がぴったりでした。
展示の仕方もよくて、10枚の絵をぐるりと囲むように配置され、壁側にベンチが用意されていて、座りながらじっくり鑑賞できます。好きな場所で、好きなだけ見ていられる、すごく贅沢な空間でした。平日は空いていて、静かにじっくり作品と向き合えるのがいいですね。
ヒルマ・アフ・クリントの作品は、目に見えないものを描く、まさに、0から1を生み出した証拠が揃っていました。不思議で美しく、そしてどこか魂を揺さぶるような作品たちに出会えて、本当に良い時間を過ごせました。

【公式サイト】ヒルマ・アフ・クリント展|東京国立近代美術館
NY・グッゲンハイム美術館で史上最多の60万人(2019年時点)が来場した、「ヒルマ・アフ・クリント」のアジア初 大回顧展。2025年3月4日(火)~6月15日(日)東京国立近代美術館にて開催。
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