ぐるっとパスを使って、吉祥寺美術館へ行ってきました。開催中の「北田卓史展 想い出の空飛ぶタクシー」は、絵本や教科書でおなじみの世界がそのまま広がるような展示でした。特に印象に残ったのは、小学校の国語の教科書に載っていた「白いぼうし」。空色のタクシーから漂う夏ミカンの香りが、記憶の奥からふっとよみがえってくるようでした。
シリーズで登場する主人公の運転手・松井さんは、さまざまなお客さんに出会います。どんな人物が登場するのか、次の作品をわくわくしながら読んだものです。北田卓史さんの描く世界は、どこか懐かしくて温かく、ページをめくるたびに出会うイラストが想像力を豊かにしてくれます。今回の展覧会では、「白いぼうし」だけでなく、絵本や児童書の表紙・挿絵の原画も数多く展示されていて、線の緻密さや色彩の深みをじっくり感じることができました。
動物たちの表情や仕草のかわいらしさにも心惹かれます。どの絵も、登場する動物たちが豊かな表情をしていて、子どもだけでなく大人も惹きつけられます。建物や風景の色合いも豊かで、平面と立体が混ざり合うことで、日常の中に夢のような情景が溶け込み、穏やかで不思議な雰囲気が漂っていました。
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