インナーアース ★★★★☆
地下の探索という任務に、現時点で生きている人達が今の会社で、どんな風に現実のものにしていくのか、読んでいて面白かったです。遠い未来ではなく、今というところがいいですね。
進んでいくミッションで、宇宙兄弟がちらつき、ちょっと予想に入り込んできてしまいましたが、最後の取引ですっきりしました。いろんな人にいろんな役割があって、繋いで行きながら、物語が完成していくところが楽しめました。翼は引っ張り過ぎで、どんな大役をこなすのかと思って期待し過ぎましたが(笑)。
そして、地図作りとケイビングに興味をもちました!楽しそう!
地図作りは凄く大変そうだけど、やりがいのある面白い仕事だなと思いました。一つ一つの道の形や家の形が、こんな風に合わさって、地図が出来ていると思うと、平面から人の営みが見えてきて面白かったです。取材協力にゼンリンとあったので、納得と思いました。仕事内容は全然違いましたが、以前、役所の都市計画課でアルバイトしていていたので、ちょっと懐かしくなりました。
ケイビングも凄く面白そうでした。閉所・暗所・水が合わさったところが大の苦手な私としては、絶対無理な趣味ですが、本を読んでる時は面白かったです。不安感と恐怖感が物凄くよくわかるなーと思いました。
細孔の先 ★★★★★
機密工作員の現役任務と、引退後の生活が描かれているんですけど、規模が大きくて、格好いいし面白かったです。
主人公の行動が小気味よい。欲張らず、人や自然を大切に生きていれば、よい人生が送れるってところがいいですね。何気に、ミンさんが出世していくのが、すごく嬉しかったです。
後編の島での生活が凄く素敵です。島ごと買って住むってのは、ありそうだと思ったけど、何より、住むまでの現地調査が凄いと思いました。地質学者とか、植物学者と現地を探索するのが面白かったです。その後の、自然の神秘的な部分や壮大さが描かれていて、美しさの中で穏やかに生活する部分が素晴らしかったです。いいなぁ。
ただ、全121ページというのがもったいない!一つ一つの挿話が興味深く、面白いのに、すぐ終わってしまいます。もっと長いお話で読みたかったです!
ひよこのピケキョ ★★☆☆☆
「やさしさがつたわる読み聞かせ絵本」とあったので、どんなに素敵な本なんだろうと期待し過ぎました。
まず、ひよこが「ピヨ」と鳴かず、「ピケキョ」と鳴いただけで、親にも兄弟にもつまはじきにされる、すごい嫌な出だしで始まります。さらには、旅に出た先々でも「そんなひよこはいない」と、存在を否定されるという、なんとも理不尽な境遇をながながと歩まなくてはならないところに、心が痛みます。しょっぱな、家族から否定されるって、相当ひどい話だと思います。
最後、鳴き方の違うブタに出会って仲間になりますが、自力で仲間を見つけ、自力で否定した相手の考えを変えていく力には脱帽です。ピケキョ凄い、頑張ったねと応援したくはなります。でも、努力して受け入れてもらうってのは違うと思います。周りを変えていくには、自分の努力しかないって教訓を教えていく本なのでしょうか。そうとしかとれませんでした。誰の優しさが、誰に伝わる本なんだ。
クロウ・ブレイン ★★★☆☆
あまり好みではありませんでした。
導入部分は、興味深い謎が出てきて、身近なカラスという題材も専門的に突き詰めているところが面白いなと思いました。でも、読み進めていくうちに、謎が増えたり、真実が分かってきたりする過程で、何となく上滑りしている感じがして、あんまりおもしろいなという感じはもてませんでした。
すごい魅力的な主人公が出てくるわけでもなく、大掛かりな犯罪組織が絡んでるわけでもなく、こじんまりとした印象でした。何より、同性相手の女性に魅力がない。ハリーポッター好きなのはいいけど、それが何?って思ってしまいました。いるか?その設定。
人喰い介護 ★★★★☆
これは怖いです。介護が近い人間ほど、怖くなってくると思います。よりよく生きるためにとった行動が、悲劇の始まりなんて誰も予想しないし、考えたくもないです。でも、それが現実感を伴って迫ってきていて、他人ごとではないと警鐘が鳴り響きます。
それにしても、周りの人間が酷かった。お金があっても人間関係がうまくいってなかったら安らかな生活は送っていけないし、お金がなかったら豊かな生活を送ることは難しいし、生きるって大変です。人は生きていくために、死ぬための準備を丁寧にしていく必要があるんだなと思いました。
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